キャラメルに恋して
「ほらっ……。ちょっと飲んだら?」
「ん~」
気付けば、アスちゃんはソファーの端っこにちょこんと座っていた。
その手には、あったかそうな湯気を出しているマイカップ。
そのカップは、昔アスちゃんと買い物に行った時に買ったものだった。
アスちゃんがピンクで、私がオレンジ。
すっかり古くなってしまったけれど、アスちゃんにとっても私にとっても、このカップは大切なもの。
「いただきまーす」
アスちゃんの手から、丁度いいくらいに温まったカップを受け取った。
猫舌な私のために、熱すぎず、冷たすぎず……。
丁度いい温度を保っている。
鼻から息を吸い込むと、ほんのり甘いカカオの香りがした。
一口飲むと、口の中に広がる優しい味に、疲れていた体も休まる。
そこでやっと、体の力が全部抜けてホッっとした。