キャラメルに恋して



幸いアスちゃんはまだ起きてない様だ。


昨日の今日でこれって……。


あまりの事に、ついつい口からため息がこぼれてしまった。



「あ~、疲れた」


冷蔵庫から取り出したビールを一口含んだお母さんは、ソファーにぐったりともたれ掛かる。



昨日あった出来事なんて知りもしないお母さんが、なんだか昨日までの私に見えて仕方が無かった。


それなりにいろいろ悩んでたけど、アスちゃんの方がはるかに苦しかったよね。



これ以上アスちゃんに苦しい思いはさせたくない……、そんな想いから私は思ってもないことを口にしていた。



「ねぇお母さん。お母さんって再婚とかしようと思わないの?」



あまりにも直球な質問に目を見張るお母さんと共に、私の目も大きく開かれていた。



なんて事言っちゃったんだ……。



後悔する気持ちと、もう後戻りできないっていう気持ちが交差する。



どうすることも出来ない私は、ただただお母さんの言葉を待った。




< 315 / 358 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop