キャラメルに恋して
幸いアスちゃんはまだ起きてない様だ。
昨日の今日でこれって……。
あまりの事に、ついつい口からため息がこぼれてしまった。
「あ~、疲れた」
冷蔵庫から取り出したビールを一口含んだお母さんは、ソファーにぐったりともたれ掛かる。
昨日あった出来事なんて知りもしないお母さんが、なんだか昨日までの私に見えて仕方が無かった。
それなりにいろいろ悩んでたけど、アスちゃんの方がはるかに苦しかったよね。
これ以上アスちゃんに苦しい思いはさせたくない……、そんな想いから私は思ってもないことを口にしていた。
「ねぇお母さん。お母さんって再婚とかしようと思わないの?」
あまりにも直球な質問に目を見張るお母さんと共に、私の目も大きく開かれていた。
なんて事言っちゃったんだ……。
後悔する気持ちと、もう後戻りできないっていう気持ちが交差する。
どうすることも出来ない私は、ただただお母さんの言葉を待った。