キャラメルに恋して
私が1番恐れていた事……。
怖くて、いえなかった事……。
内ポケットに入れておいたケータイを無意識のうちに触っていると、他のゴロッ…とした感触が指先から伝わってきた。
何かと思って取り出したそれは……
「うっ……、隼人のバカ」
隼人の笑顔を連想させる、甘い甘いキャラメル。
随分前に貰ったものだけど、食べずに取っておいたんだ。
なんとなく、なんとなくだけど、こんな日が来る様な気がしたからかもしれない。
ケータイにだって、隼人みたいなアルパカが付いてるし……。
私にはそれをとる勇気さえないんだ。
『弱虫ヒナ』
小さいときの私のアダナ。
すぐ泣いちゃう私には、だれも近づいてこなくて。
いつしか弱いところを見せられなくなった。
いつも男の子に苛められて、私はアスちゃんや真菜ちゃんに守られてばっかりで…。