キャラメルに恋して
それからあっという間に時間は過ぎて行っちゃって、西日が差す放課後になった。
「雛っ!!響くんが奢ってくれるって」
「は?雛ちゃんはともかく、お前はヤダ」
「ひどっ……。響くんなんか置いて行こ?」
「ははは……」
麻耶と響くんは、いつもみたいに口げんかをしてる。
だけど、それがちょっとだけわざとらしくて、素直に笑う事ができない。
麻耶と響くんはお似合いなんだから、付き合っちゃえばいいのに……。
「ひなっ、ボーっとしてるよ?」
「あ、ごめんね。何にするー??」
「俺はコーヒーでいいな」
「響くんブラック飲めるの~??大人ー」
「お前とは違うんだって」
広げたメニューには、おいしそうな飲み物やケーキの名前がいっぱい書かれてあった。
コーヒー
カプチーノ
紅茶
モカ
スペシャル・キャラメル
"キャラメル"その単語を見るだけで、自動的に隼人の事を思い出す。
「雛ちゃんは、"スペシャル・キャラメル"にすんの??」
「いいじゃん!!雛、最近キャラメルにハマってたしさ」