キャラメルに恋して
「……ふ……っ…」
貪られていく唇。
やめて……そう言いたいのに、それは声にならない吐息と共に口の外へと漏れ出てくる。
顔に修史さんの酒臭い息がかかる……。
「なんで」、「どうして?」キスされている間、そんな疑問だけが頭の中を駆け巡っていた。
しばらくして、修史さんは何事もなかったように私の唇から自分の唇を離し、眠りについていった……。
気持ち悪い後味が残った唇を何度も何度も袖で拭いた。
それで、キスされた事実がなくなるわけじゃないのはわかっていたけど、それでも何度も何度も拭いた。
怖かった思いが、涙に変わって体から出て行く。
私の頭の中は、パニックで何も考えられなくなっていた。