キャラメルに恋して




勇気を振り絞ってやっと出た言葉は、店員さんによってかき消された。

隼人は、私が何か言いかけたのも気付いていないようで、そそくさと観覧車を降りた。


今考えると……これが神様がくれた、最後のチャンスだったんだ。


隼人は、それから1度も私の目を見る事なく、遊園地の門をくぐって待ち合わせをしたあの駅へと向かっていった。



駅への道で、隼人は行きと同じように手を繋いではくれなかった。


隼人に繋がってもらえなかった右手は寂しく震えていた。




こうして、観覧車の終わりと共に、私と隼人の不思議な関係は終わった…………。





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