ゆーとゆーま
 それで、ここで英語? と思いつつよくよく生徒委員を見れば、あらま去年から引き続き同じクラスの知り合い以上友人未満。美依。明るくて誰とでも話が合わせられて気配りも出来る、そんなひと。


TO:ゆーま ……そんなこといって、花壇が心配なだけじゃないの?


 開けっ放しのケータイを机の上に置き、何故か音のしない教室で由布は手を挙げた。あたし、花壇委員やります。

 ちょっとだけざわついた周囲を美依が穏やかに、何かあるなら今直接言ってね、と宥めて静かにさせた。かといって対抗馬が現れるわけでもなく、由布はすんなり花壇委員に決定。そこから後は興味がなかったから聞いてない。

 携帯に目を戻すと新着メールがあって、当然ゆーまからで、内容もだいたい予想していたものだった。


TO:ゆー  お願いできない?
TO:ゆーま だろーと思った。なったよ、花壇委員。


 去年、ゆーまは花壇委員だった。名前だけの幽霊委員になりやすい花壇委員の中でも、本気で花を愛してちゃんと仕事をこなす少数派の一人。二年生には委員長になるだろうと推測していたのは多分、幼馴染みの由布だけじゃない。

 由布は委員長になる気なんかさらさらないけど、なれないゆーまの代わりに、ゆーまの愛した花壇を守るくらいはしてあげても良いと思った。土いじりなら植物相手だし、気も楽だし。
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