ゆーとゆーま
 新着メールを受信。三十五件。


TO:ゆー  お昼ご飯は食べた?
TO:ゆー  昼寝でもしてるのかな。
TO:ゆー  やっぱ寝てんじゃん。五限が始まる前には起きなよ。
TO:ゆー  ゆー、このメール届いてる?
TO:ゆー  無視してるの? それとも授業に集中してて返事してないだけ?
TO:ゆー  今なら自由時間だよね。返事して?
TO:ゆー  届いてないなんて信じたくないんだ。お願いだから返事して。由布とさえ会話出来なくなったらどうすれば良いか、
TO:ゆー  ゆー。
TO:ゆー  ゆー。
TO:ゆー  ゆー。
TO:ゆー  ゆー。

TO:ゆーま  ごめんね、返事返せなくて。


 由布は短く打ってメールを返した。そして倒れこむようにベッドに横になった。

 お昼頃に電池がなくなっただの携帯できる充電器を持っていなかっただの、長くなる言い訳は後でで良い。まずはゆーまに、由布とゆーまを繋ぐ回線はまだ繋がっているのだと教えてあげたい。

 電話が出来れば良いのにと思った。メールと比べればまだ肉声の方が温もりが伝わる気がしたし、ゆーまの友人に代わってあげて、ゆーまは大丈夫なのだと安心してもらうことも出来るだろうに。しかし、ゆーまに電話をかけることは不可能だ。ゆーまから電話をかけてもらうことももちろん。

 重くなった瞼を閉じる直前、ケータイが点滅する。ゆーまからのメールだ。

 現実で会えないのなら、せめて夢で会えたら良い。引き寄せたケータイを握り締め、由布は眠気に身を任せた。


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法則:ゆーまが外部と連絡をとれる方法は、現在、由布とのメールのみである。

【了】
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