月の花弁
白いヒラヒラしたドレスはボロボロだし、
どうして城から出て、一人でいるのかも気になるし、
呪符のおかげでツルが体を固定してるのが取れたが、
ユリちゃんなら大丈夫だったはずだ。
――――――こんな状況なのに、
ユリちゃんの初めてであろう吸血を
カナトでも俺でもなく、
あんな見ず知らずのやつに奪われたこと、
追いかけっこをしていたことに気づいたとき、
瞬間移動したら
それを防げたであろう、自分に
イライラした。