月の花弁
…これ以上
2つの丸い傷口が広がるのを
見ていられない…
「カナト…
ユリちゃん…
…ごめんね…
…ユリちゃん…
すぐ終わるから。」
そう言って俺は
ユリちゃんの傷口を舐め始めた。
カナトとユリちゃんには
ごめんけど、
二人の仲を壊す気はないけど、
カナト…
お前のところに
連れていくまでに
ユリちゃんに死なれちゃ困るから…
…せっかく出来た友達…
初めての…男友達。
黒き者のそこそこの力を持った
王女たちが俺にいいよってくる中、
男友達なんて居なかった。
カナトが事情を話せば
許してしてるくらい
いい奴だって知っているのに、
……壊れちゃったら、
どうしよう。