キスより甘くささやいて
第1章 失恋記念日
海辺の家
鎌倉駅から江ノ電に乗り変え、七里ガ浜駅にたどり着く。
「帰って来ちゃった」
と3両編成の電車が通り過ぎひとりになったホームで呟いた。
3月半ばを過ぎたのに、海風が冷たく感じるのは、心が寒いからに違いない。
去年の暮れに2年付き合った恋人と別れ、仕事を辞め、実家に戻ることにしたのだ。
山内美咲(やまうちみさき)28歳。
全部東京に捨ててまいりました。
昨日まで総合病院の小児科ナースでしたが、
今は無職です。
同じ病院に勤める外科医の恋人に他にもつきあってるオンナがいたのだ。
周囲の同情や、好奇の眼差しに耐えられるわけもなく、
年度末で退職させてもらった。
これからの事はまだ決まっていない。
とりあえず、今後の住むところや、仕事が決まるまで、実家に置いてもらおう。
「帰って来ちゃった」
と3両編成の電車が通り過ぎひとりになったホームで呟いた。
3月半ばを過ぎたのに、海風が冷たく感じるのは、心が寒いからに違いない。
去年の暮れに2年付き合った恋人と別れ、仕事を辞め、実家に戻ることにしたのだ。
山内美咲(やまうちみさき)28歳。
全部東京に捨ててまいりました。
昨日まで総合病院の小児科ナースでしたが、
今は無職です。
同じ病院に勤める外科医の恋人に他にもつきあってるオンナがいたのだ。
周囲の同情や、好奇の眼差しに耐えられるわけもなく、
年度末で退職させてもらった。
これからの事はまだ決まっていない。
とりあえず、今後の住むところや、仕事が決まるまで、実家に置いてもらおう。
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