キスより甘くささやいて
第7章 春
再び、失恋記念日
明日から4月だ。鎌倉の町は桜が満開だ。
今日はgâteauが最終日だった。
たくさんのお客様がやって来て、gâteauの閉店を惜しんでくれた。
ケーキの箱に添えられたカードには
オーナーのお礼の言葉と、
颯太の、また、皆さんにお会いできる日まで。
という挨拶が書かれている。
颯太がフランスに行く事になっているのは、結構、噂になっていて、
どのお客様も好意的に声をかけてくれていた。
ティールームに勤める啓介君という若者は、製菓学校に通い、
パティシエを目指すそうだ。
もう1人の若者は他の飲食店に勤める事になっている。
私は都内の療養型の病院に勤める事になっているが、
颯太がフランスに発ってから、勤められるように調整した。
(看護師はいつでも人出不足なので、そういう融通はききやすい)
みんなと、握手してから、別れた。
これから、それぞれの道を歩いていく。
オーナーと颯太は名残惜しそうだ。
また、必ず会おう。と言い合っている。
きっと、オーナーは自分の息子を旅立たせる気持ちで。
颯太は、ここで、オーナーに出会えた事に感謝して。
帰り道、
遠回りして、鎌倉山の桜のアーチの下を車で通る。
道を覆うように咲き誇る美しい桜の花。
満開の桜は言葉を失うほどに美しい。
車を少しだけ道路に止め、
ふたりで手を繋いで、仰ぎ見る。
颯太と見たこの桜を、きっと、一生忘れない。
そう思った。
今日はgâteauが最終日だった。
たくさんのお客様がやって来て、gâteauの閉店を惜しんでくれた。
ケーキの箱に添えられたカードには
オーナーのお礼の言葉と、
颯太の、また、皆さんにお会いできる日まで。
という挨拶が書かれている。
颯太がフランスに行く事になっているのは、結構、噂になっていて、
どのお客様も好意的に声をかけてくれていた。
ティールームに勤める啓介君という若者は、製菓学校に通い、
パティシエを目指すそうだ。
もう1人の若者は他の飲食店に勤める事になっている。
私は都内の療養型の病院に勤める事になっているが、
颯太がフランスに発ってから、勤められるように調整した。
(看護師はいつでも人出不足なので、そういう融通はききやすい)
みんなと、握手してから、別れた。
これから、それぞれの道を歩いていく。
オーナーと颯太は名残惜しそうだ。
また、必ず会おう。と言い合っている。
きっと、オーナーは自分の息子を旅立たせる気持ちで。
颯太は、ここで、オーナーに出会えた事に感謝して。
帰り道、
遠回りして、鎌倉山の桜のアーチの下を車で通る。
道を覆うように咲き誇る美しい桜の花。
満開の桜は言葉を失うほどに美しい。
車を少しだけ道路に止め、
ふたりで手を繋いで、仰ぎ見る。
颯太と見たこの桜を、きっと、一生忘れない。
そう思った。