キスより甘くささやいて
後1週間で颯太はフランスに発つ。
もう、飛行機のチケットもとってある。
颯太は最後まで私を連れて行くつもりで、
私のパスポートもきちんと更新して、
飛行機のチケットまで用意している。
やれやれ。

颯太は仕事がなくなって、
荷物の整理をしながら、次第に落ち着きがなくなっていく。
私をいくらでも欲しがり、ベットから出さない日が続く。
私は別にかまわない。と思う。
いくらでも、抱き合って大丈夫だ。
仕事はもうないんだから。

私の身体にはたくさん颯太がつけた印が刻まれていく。
颯太の背中も、私がつけた爪痕で痛々しい。
気を失うほど抱き合っても、颯太はちっとも落ち着かない。
私は颯太の耳元で愛していると繰り返す。
颯太はなんで一緒にいられないんだと私を抱き潰すように、声を荒げる。


でも、私の心は落ち着いている。
大丈夫。
きっと、離れても生きていける。
そう、根拠もなくかんじるだけだ。

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