キスより甘くささやいて
「美咲、何から知りたい？」
と颯太は私を抱きしめたまま、優しい声で聞く。
私は何から聞いていいかわからない。

「じゃ、最近のことから、俺がコンクールで優勝してのは知ってるよね。
その後、日本に帰る準備に明け暮れた。
日本に戻ったら、自分の店を持ちたかったからだよ。
本当は都内のおしゃれな場所で店を持った方が良いのはわかってたけど、
美咲と過ごした、海が見えるこの場所に住んで、
やっぱり、店を持ちたいと思ったんだよ。
だからさ、gâteauを借りることにした。
本当は売ってほしいって言ったんだけど、片岡さんは、今は借りておけばって言ってくれた。
だからさ、gâteauのは建物だけを購入して、改装して、使うことにした。
厨房は明らかに狭いし、これから、若いパティシエも何人か雇うことになると思う。
始めに、幾つかのデパートにおいてもらえることにはなってるし、
結構コンクールで優勝すると人気があるんだよ。
だからティルームはテラスがあったところに作る予定。」と微笑む。
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