キスより甘くささやいて
目を開けると知らない天井が見える。
ぼんやりと、頭を動かすと、
「目が覚めた?」と柔らかい声がする。
ハッと声がする方を見ると、
前の机で片岡さんがボールペンを手にして笑っている。
「急に倒れたから、心配しちゃった。
でも、ちゃんと息もしてたから貧血かなって思って…
少し様子を見ることにしたんだ。
大丈夫かな?」と言った。
ソファーに運んでもらったみたいだ。
私はものすごく恥ずかしくなって、
「大丈夫です。少し、寝不足で…。
ご迷惑をおかけしてすみません」と言いながら、起きようとすると
「ストップ。
急に動くとまた、具合が悪くなるよ」
と止められた。
片岡さんが、クスクス笑って、
「颯太の慌てっぷりったら、なかったな。
それに、君ときたら颯太に抱き上げられた時、
トモヤって、言ったもんで、
相当ご機嫌ナナメだよ。
うーん、アイツ、今、すごい音を立てて、洗いものをしてるけど、
目が覚めたこと教えてやらないと、
そのうち、器材が壊れそうだ。」と笑って、颯太を呼びに行ったみたいだ。



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