キスより甘くささやいて
私は溜息をついてから話した。
「私は、高校を出て、看護科のある大学にはいった。
卒業して、都内にある総合病院の、小児科に配属された。
それで…26歳の時に外科医の智也に出会った。
去年の年末に振られて、年度末に退職して、戻ってきた。
以上。」颯太はふーんといって、なんで別れたの?と聞いてきた。
「私の他にもオンナがいた。」と言ったら、
「気を失う時に思い出すほど、忘れられないの?」と言われて、
「私に何が足りなかったのかって、思って、悲しいだけ。」と答えると、
「そいつには足りなかっただけで、他のヤツには十分って事もあるでしょう。
俺が思うにそいつは巨乳好きだったんじゃん。
俺なら、おまえのオッパイでじゅうぶんだよ」とニッコリした。
それって、ちっとも喜べないかなと思ったけど、
「なぐさめてるつもり?」と笑ったら、
「いいやと、求愛しているつもり。」と颯太はニンマリし、
「考えといて」と伝票を持って立ち上がった。
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