キスより甘くささやいて

私は颯太の突然の告白にドギマギしてしまう。
店を出て、颯太は私の手を握って歩き出す。
私が焦って、
「颯太…」と呼ぶと、
「美咲、今は返事はいらない。
これから、俺は本気出すんで、検討よろしくお願いします。
俺だって、おまえが気を失う時に他のオトコの名前呼ばれても困るし、
俺が呼んでもらえるよう努力するって事で…この話はお終い。」
「…」上手く返事が出来ない。けど、
「まだいいの？」
と私は颯太の瞳を見る。
颯太の瞳が大きく笑って、頷いた。

颯太は
「これから、俺は母親のところに行くんだけども…、
美咲が嫌じゃなかったら、
ガールフレンドって事で、一緒に来てくれると嬉しい。
俺さ、こっちに来てから、恋人作らなかったから、
あのひと、心配して、
自分が病気のせいかもって思っている節があってさ、
まあ、gâteauの仕事が面白くて、恋人はいらなかったんですけど。
…どうかな？」と照れたように笑う。
「ガールフレンドって事なら、いいですよ」
と私も顔が赤くなる。
「潮騒療養所。ってとこ。
七里ガ浜の先のところに入院してる」と言った。
江ノ電の窓から看板が見えてたなと思う。
「今日はガールフレンドって事でよろしく」
と改まって私に手を差し出してくるので、
「そういう事にしておいてあげる。」
と私も颯太の手を取った。