キスより甘くささやいて
gâteauでアルバイトを初めて1ヶ月が過ぎた。
私は少し、仕事になれたきたかな。明日は月曜日で定休日。
(私とティールームに勤める2人は週にもう1度順番に休みがある)
仕事の終わりに、颯太が
「今日、疲れてなければ、少し飲みにいかない?」と誘ってきた。
「大丈夫。」と返事をする。
颯太は、私が貧血を起こした事を気にして、
ちゃんと寝てるか、とか、食べてるか?とか結構うるさい。
朝はあいかわらず、早く眼が覚めるけど、
夜のあいだは結構眠れるようになってきた私は、
少し、体調が良くなっているところをみせないと。
とちょっと思っている。

私達の勤務は18時まで。
ティールームを閉める時間におしまいだ。
ケーキは19時まで販売していて、
オーナーと、もう1人が残る事になっている。
颯太は初夏に向けて作っている新作のケーキを3個箱に詰める。
オレンジとパッションフルーツを使ったムースのケーキだ。
まだ、納得がいかないのか、何度も試作を重ねている。
「どこに持っていくの?」と聞くと、
「これから、行く飲み屋。そこのママに意見を聞くんだ。
参考にはあんまりならないけど、俺の作るケーキが好きなんだ。」と笑う。そして、
「美咲も知ってるヤツだと思うよ」と言った。
へー。
誰だろう?



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