キスより甘くささやいて
トオルが
「ミサキチったら、スタイルだけは良かったから、
身体目当てのオトコが結構群がって来てたけど、誰かとヤッタ?」
ととんでもないない事を聞いてくる。
「失礼な、そんな事はシテませんよ。」
と慌てて、否定すると、
「あんた、テニス部の先輩と付き合ってたじゃない?
アイツ、結構、あんたの身体目当てだったと思うけど?」
と言われて、昔の古傷が痛む。
「いや、すご〜く迫られたので、逃げたら、
あっさり、振られましたよ。
つまらないオンナって言われて、ヘコんだな。
私、昔から、変に真面目で、融通が利かなかったから、
ツマラナイって振られちゃうんですよ」と言うと、颯太が
「そこが良いところだろ。
真面目でまっすぐで、きっと、傷つく事も多かったと思うけど…
俺はそういうところ好きだな。」
と言って、照れたのか顔を背ける。
トオルは颯太に
「先輩とは、何にもなかったんだって。
よかったね。颯太。
ミサキチが先輩と付き合いだした時、ものすごく暗かったもんね。」と笑って、
「あー、でも、キスぐらいはした?」
とトオルが私に顔をしかめて聞いてくるので、
「ノーコメント」と笑っておいた。
< 47 / 146 >

この作品をシェア

pagetop