キスより甘くささやいて
2週間後、その人はやって来た。
年は同じ位かな。
ショートの髪は明るい色に染められ、身につけている物も、個性的で垢抜けている。
可愛らしい笑顔を見せ、名刺を取り出し、
◯◯社で女性向けの雑誌のスイーツのページを担当している、小泉 麻衣子と言います。
といって、パティシエの風間さんにお会いしたい。とオーナーと私に笑いかけた。
しばらくして、やって来た颯太は、私の横で、びっくりした顔をした後、笑顔を見せ、
「小泉さん。久しぶり。」と握手するために手をだした。
彼女は、その手を無視して、颯太に抱きつき、
「やっと、見つけたわよ」と耳元で囁いたのが、私の耳にも届いた。
私の心臓が嫌な音を立てる。なんでだろう？
「都内をいくら探してもみつからないはずね。
でも、都内で、お店を出すって話はどうしたの？」
「よく、知ってるんだな。キチンと、雑誌記者になったんだね。
今はここで働かせてもらってる。
ここで、自由にやらせてもらってるんだよ。
小泉さんが好きだったオペラもつくってる。食べてみる？」
と颯太は静かに話した。
彼女はふーんと言って、
「いただくわ。」とカフェに向かった。




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