キスより甘くささやいて
夕方、由比ヶ浜が混み合う前に、颯太のお母さんを車椅子に乗せ、
輸液ポンプを持って、介護タクシーでホテルに入った。
タクシーはホテルに止めておいてもらい
花火の後の混雑が終わる夜中に移動するつもりだ。
私が看護師なので、
輸液の管理や、バルーンチューブや、背中に入れられたポンプの管理は大丈夫だ。
緊急時には救急車を呼んで病院に戻る事になっている。
(そんな事態にはならない予定だけど。)
部屋に入って、颯太がお母さんをゆっくり抱き上げ、ベットに寝かせる。
私はお母さんの状態を確かめる。
いつもより、血圧が少し高めだが、きっと、うれしくてん、興奮しているからだろう。
担当医の先生に無事にホテルに着いた事と一緒に血圧について報告すると、
いつも低いから、少し上がってるくらいの方がいいよ。
と笑っている。順調だ。
少し部屋を暗くして、眠ってもらう。
私と颯太と夏希ちゃんの3人はひそひそ声で話し合った。
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