ひとリかクレンぼ
「…っさて、そろそろ帰りますかね」
結構長いこと蛍を眺めていたがそろそろ帰らなくては明日のバイトに響く
ただでさえいろんな奴らのバイトを肩代わりして寝不足なんだ、これ以上睡眠時間を削ると倒れてしまう
名残惜しかったが岩から降りてもう一度蛍を一瞥し、元きた道をゆっくりと下り始めた
蛍の場所から少し離れライトをつけようと携帯を取り出した時、背中に衝撃が走った
何かがぶつかってきたようだ
「きゃっ…」
「わっ…っと…え、ちょ…大丈夫?」
一先ず状況を確認するためライトをつけて振り返れば尻餅をついている女の子がいた、もしかしなくても彼女がぶつかってきたのだろう
暗闇だし俺の服も黒系だから気づかないのは仕方ない
いつまでもその状態のままというわけにもいかないため起き上がれるように手を差し出せば、恐る恐ると言った様子で手を取る
女の子は大体高校生くらいだろうか、短い黒髪にアメジストの瞳とその片方を隠す眼帯が大人びた雰囲気を醸し出していて一瞬同い年かと思ってしまったが背格好は明らかにまだ未成年だ
…?
俺は少し違和感を感じた
彼女の服は白い半袖のワンピースだが、所々に赤い斑点が付いている
そういうデザインなのだと言われれば女子のファッションなんてわからない俺は黙るしかないが、その他にもあるほつれや破れたあとの説明がつかない
「…えっと、怪我でもしてるの?服破れてるしなんか赤いし、俺の家そこだから手当しようか」
「い、え…あの…」
俺の問に彼女はわかりやすく肩を震わせ怯えるように俺を見上げた
よく見れば頬も少し腫れている
「…どうしたの?」
「ぁ…ぁあっ…た、たす、けて…助けてくださいっ…お兄ちゃん、がっ」
俺の言葉が引き金となったようにわっと泣き始めてしまった彼女
何があったかはわからないが彼女の泣く姿に何か尋常じゃないことが起きていることがわかった
取り敢えず彼女がこんな状態では話ができないため近くの石に腰掛けて彼女が落ち着くのを待った
静寂に彼女の泣き声が響く
…しばらくした後その泣き声が止んだ
俺は躊躇い気味になりながらも声をかけてみる
「…落ち着いた?」
「…はい、いきなり泣いてしまい申し訳ありません」
顔をあげないのは泣き顔を見られたくないからなのだろう、まだ震える体を戒めるように膝の上で強く拳を握る彼女にゆっくりと問いかけた
「助けてって言ったよね、一体何があったの?」
「…その…信じていただけるか、わかりませんが」
口ごもりながらうつむかせた視線を彷徨わせていたが、やがて決意したように口を開いた
「…ひとりかくれんぼって、ご存知ですか…?」
…都市伝説なんて存在するはずないと思っていた
そう、この時までは
結構長いこと蛍を眺めていたがそろそろ帰らなくては明日のバイトに響く
ただでさえいろんな奴らのバイトを肩代わりして寝不足なんだ、これ以上睡眠時間を削ると倒れてしまう
名残惜しかったが岩から降りてもう一度蛍を一瞥し、元きた道をゆっくりと下り始めた
蛍の場所から少し離れライトをつけようと携帯を取り出した時、背中に衝撃が走った
何かがぶつかってきたようだ
「きゃっ…」
「わっ…っと…え、ちょ…大丈夫?」
一先ず状況を確認するためライトをつけて振り返れば尻餅をついている女の子がいた、もしかしなくても彼女がぶつかってきたのだろう
暗闇だし俺の服も黒系だから気づかないのは仕方ない
いつまでもその状態のままというわけにもいかないため起き上がれるように手を差し出せば、恐る恐ると言った様子で手を取る
女の子は大体高校生くらいだろうか、短い黒髪にアメジストの瞳とその片方を隠す眼帯が大人びた雰囲気を醸し出していて一瞬同い年かと思ってしまったが背格好は明らかにまだ未成年だ
…?
俺は少し違和感を感じた
彼女の服は白い半袖のワンピースだが、所々に赤い斑点が付いている
そういうデザインなのだと言われれば女子のファッションなんてわからない俺は黙るしかないが、その他にもあるほつれや破れたあとの説明がつかない
「…えっと、怪我でもしてるの?服破れてるしなんか赤いし、俺の家そこだから手当しようか」
「い、え…あの…」
俺の問に彼女はわかりやすく肩を震わせ怯えるように俺を見上げた
よく見れば頬も少し腫れている
「…どうしたの?」
「ぁ…ぁあっ…た、たす、けて…助けてくださいっ…お兄ちゃん、がっ」
俺の言葉が引き金となったようにわっと泣き始めてしまった彼女
何があったかはわからないが彼女の泣く姿に何か尋常じゃないことが起きていることがわかった
取り敢えず彼女がこんな状態では話ができないため近くの石に腰掛けて彼女が落ち着くのを待った
静寂に彼女の泣き声が響く
…しばらくした後その泣き声が止んだ
俺は躊躇い気味になりながらも声をかけてみる
「…落ち着いた?」
「…はい、いきなり泣いてしまい申し訳ありません」
顔をあげないのは泣き顔を見られたくないからなのだろう、まだ震える体を戒めるように膝の上で強く拳を握る彼女にゆっくりと問いかけた
「助けてって言ったよね、一体何があったの?」
「…その…信じていただけるか、わかりませんが」
口ごもりながらうつむかせた視線を彷徨わせていたが、やがて決意したように口を開いた
「…ひとりかくれんぼって、ご存知ですか…?」
…都市伝説なんて存在するはずないと思っていた
そう、この時までは