ある弦楽部の部員の話。
中学校の入学式の日。

真新しい制服に少し緊張しながら袖を通した私は、久しぶりにノドカの家のチャイムを鳴らした。

「はーい、あら、アヤちゃん!お久しぶり」

ノドカママの声は相変わらず耳に心地よくって。

「あっ、あの‼桐原です!
…ノドカ、一緒に学校行かない?」

許してくれるなんて思ってない。あんなきついこと言っちゃったんだもの。

けど。

「アヤ?ノドカです。いいの? 
また、小学校のときみたいに学校…一緒に行っていいの?」

インターホンから聞こえてきた声は、私のことを許してくれる印だった。
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