ある弦楽部の部員の話。
「うん、そうだよ。君は榎田さんで、いいのかな…?」

あ、答えて無かったんだっけ、私…。

「ごめんなさい、答えてなくて。そうだよ、私は榎田和花。
これからよろしくね、えっと…、何て呼べばいい…?」

相手の顔を見ようと顔を横に向けた私は、はっと息を飲んだ。

息を飲むなんてこと、現実じゃあり得ないと思ってこれまで生きてきた私が、
呆気なく息を飲んだ…。







それくらい、彼の顔は美しくて。
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