ある弦楽部の部員の話。
「~っ!」

遅い。毎度のごとく、ノドカは遅い。

私が家のチャイムを鳴らして、ゆうに5分は遅れて出てくるノドカ。

のんびりしていて温厚、名前の通り和かなこの親友は、ときに私をとてもイラつかせる。

「ほら、ノドカ、アヤちゃん待たせてるでしょう」

ドアが開き、ノドカママの優しく急かす声と、ノドカが出てきた。

「ごめんね、アヤ。お待たせ…」

申し訳なさそうに言うノドカを見てて、


なぜか私は心の奥で堪忍袋の尾が切れる音を聞いた。
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