能あるイケメンは羽目を外す
自棄になった私は椅子から立ち上がり席を立とうとしたが、この男性に腕を強く捕まれた。

「興味がないとは言ってない。明日、朝起きて後悔しても知らないよ」

怖い目をしてその男性はそう言うと、椅子から立ち上がる。

肌に刺さるようなピリピリした空気を彼は身に纏っていた。

多分……こんな私に対して怒っているんだと思う。

この人にとってみれば……いい迷惑だよね。親切心で声をかけてくれたのに、私のこんな無茶な我が儘に付き合わされて……。

男性は私の手を捕んだままスタスタと歩き出したが、履き慣れないヒールの靴に脚がもつれそうだった。

「あの……ちょっと待って!」

私はハッとして慌てて彼に声をかける。

「何?怖じけづいた?」

男性の視線が冷たい。

「違います。私……お酒代払ってない」

「問題ないよ」
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