能あるイケメンは羽目を外す
親父と俺の話はずっと平行線だった。

食事が運ばれてもお互いあまり手をつけることはなく、同席していた杉原はほとんど何も言わずに静観していた。

親父がトイレに行くため席を外すと、俺は杉原に目を向けた。

「杉原、お前……俺に何か隠してるよね?」

「なぜそう思うんですか?」

杉原は俺の問いに表情を変えず、冷めた目でじっと俺を見据える。

「俺の勘だよ」

「社長がお話にならないなら私は話せません」

つまり俺に隠してる事があるということか。

「だったら、単刀直入に聞こうか?親父、病気なんじゃない?」

俺の言葉に杉原の瞳が微かに揺れる。表情は変わらなくても、目は嘘をつけない。

「そう思うなら親孝行してはどうですか?」

「冗談言わないでくれるかな?親父に取って俺は息子ではなく、都合のいい人形だ。翔馬の代用品。そう思ってる相手にどうして優しく出来る?」
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