能あるイケメンは羽目を外す
「だったら、どうして日本に戻って来たんですか?」

杉原の言葉に俺は一瞬考え、フッと笑った。

「単なる好奇心。最近、ちょっと退屈してたんだよ」

「たいした理由ですね」

「俺は帰るよ。親父にも宜しく言っておいて」

俺が立ち上がると、杉原は俺に厳しい視線を向けた。

「もううちの会社に来て二週間経ちます。うちの会社の現状はわかったでしょう?そのまま放置して逃げるんですか?このままいけば……」

「あと二~三年でうちの会社は潰れるだろうね。どんだけ甘く見ても」

「千人の社員が路頭に迷っても?」

「俺には関係ないし、俺は神じゃない。俺が社長になったとして、今の状態が改善されると楽観視するのは甘くない?お前も俺に変な期待をするのは止めたら?」

「見損ないましたよ。とんだヘタレですね。失敗を恐れてるんですか?」

「どうとでも。人に振り回されるのはごめんだね」

軽い調子でそう告げると、俺は料亭を後にした。
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