能あるイケメンは羽目を外す
家に帰ると、玄関に明かりが灯されていてホッとする。

料亭では柄にもなくちょっと感情的になってしまったかもしれない。

こんなの俺らしくない。

「お帰りなさい。早かったですね。もっと遅くなるかと思ってました」

楓が出迎えてくれて……ちょっと気持ちが温かくなる。

誰かが家にいてくれるのっていい。それだけで心が安らぐ。

考えてみれば、母親が入院してからはこんな風に自分を出迎えてくれる人はいなかったかもしれない。

チラリと時計に目をやれば、夜の九時過ぎ。

きっと楓は一人だとたいしたものは食べていないだろう。

「まだ夕食食べてないんでしょう?俺もあまり食べてないからお腹空いてるんだ。一緒に食べよう」

「じゃあ、すぐ食べたいならパスタにしますか?」

楓の提案に俺は笑顔で頷いた。

「いいね」

「すぐに作るので着替えて来て下さい」
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