能あるイケメンは羽目を外す
だが、その刹那、またドアがバンッと開いて、閻魔大王のように怖い顔をした杉原さんが現れた。

「また会議抜け出して何やってるんですかあなたは?ここは会社ですよ」

「折角いいところだったのに。お前も空気読んでよ」

陽斗はひょうひょうとした調子で言うと残念そうに笑った。

「仕事もしないグータラ男に言われたくないですね」

杉原さんの目は相変わらず冷ややかだ。

「俺は仕事は選ぶ主義なんだ」

「あなたの辞書には責任とか義務とかいう言葉がないようですね。今日は仕事終わらせるまで帰しませんよ」

冷たく言って杉原さんはメガネのブリッジを指で上げる。

「杉原は厳しいねえ。楓、じゃあ続きは家でゆっくりね」

陽斗は私に向かってウィンクすると、杉原さんに連れられて会議室を後にした。

あの二人って本当に仲がいい。

キスされなくてホッとしていいはずなのに、がっかりする自分もいて……気持ちは複雑。
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