能あるイケメンは羽目を外す
「全く、あなたという人は……。成沢さんが怒りますよ」

杉原がハーッと盛大な溜め息をつく。

楓の危険が回避されれば彼女に怒られても非難されても構わない。

「元婚約者がストーカーじみた行動をしないとも限らないし、今週アパートを引き払わなくてはならないのに楓は引っ越し先がまだ決まってない。焦って変なアパート契約されても困るからね。彼女のためだよ。彼女は今……まともな判断が出来ない」

「では……まともな判断が出来るあなたにお願いします。もっと真面目に仕事して下さい。私の事はこき使うくせに、自分は何もしないなんて許されると思いますか?」

「給料払ってるけど」

上司に従うのは当然といった顔で杉原を見ると、こいつは片眉を上げた。

「それは会社の金ですよ。あなたのポケットマネーじゃないでしょう?」

冷たい眼差しで反論する杉原を俺はからかった。
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