能あるイケメンは羽目を外す
「じゃあ、俺のポケットマネーで特別手当を出そうか?」

「いつまでも話を誤魔化さないで下さいよ、このグータラ男!」

杉原が怖い顔で俺を罵る。

「一応上司なんだから、敬ってくれない?俺だってほんのちょっとは傷つくんだけどな」
俺は肩をすくめてみせるが、杉原は無表情だった。

「それに値するのなら敬いますよ」

「値ね。お前の期待は高過ぎると思うけど。だが、ちょっとは期待に添うように向こうを揺さぶってやろうか?」

ニヤリとする俺の言葉に杉原は眉をしかめた。

「……どういう意味です?」

「企画開発部の部長を今すぐ呼んでくれる?」

俺は杉原の質問には答えず、ニコッと笑う。

昨日、楓に伝えて全て戻すように頼んだプレゼン会議の資料に、企画開発部の部長はどういう反応を示しただろうか?

普通なら、朝一番に俺のところに説明にやって来てもおかしくない状況。
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