能あるイケメンは羽目を外す
「普通に秘書としての仕事するだけじゃなくてさ、時間がある時にじっくり見てみるといい。いろいろとうちの欠点が見えて面白いよ。それから、全系列ホテルに全てのレビュー・コメントに対してうちもすぐにコメントするように通達を出してくれる?顧客の意見は真摯に受け止めるべきだ。苦情等は直ちに対応させて」

俺の言葉に意外そうな顔をしながらも、杉原は今度は素直に了承した。

「わかりました」

「表向きは俺ではなく、社長からの通達にしておいてくれる?その方が効力があるだろう?なんと言っても俺はグータラ男だからね」

杉原に向かってクスッと笑うと、俺はもう話は終わりとばかりにスマホのゲームを再開する。

そんな俺を数十秒眺めた後、杉原は何も言わずに退出した。

十分程ゲームをしているとそれも飽きてきて、俺は机の引き出しからスケッチブックとペンを取り出し、真っ白な紙をじっと眺める。
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