能あるイケメンは羽目を外す
言葉に詰まりながら話す私を麗香は優しく見守る。

「楓……相当頭混乱してるのね。でも、専務が側にいてくれて良かった」

麗香はクスッと声に出して笑うと、私の頭を撫でた。

「ちょっと運命的ね。専務って来るもの拒まずって印象だったけど、その様子だと大事にされてるのね」

「……うん。昨日も会議室で章介に乱暴されそうになったところを専務に助けてもらって」

陽斗が私の様子が変だと気づかなければ、私は今呑気にダイビングの勉強なんて出来なかっただろう。

「……そんな事があったの?私がいたら片桐なんかボコボコにしてやったのに」

麗香が珍しく口を尖らせて怒る。

麗香が人を殴るなんてあり得ない。

「そんな麗香は想像出来ないよ。社内の麗香ファンがびっくりするよ」

私がクスクス笑うと、麗香が反論した。

「何よ、私のファンって。それを言うなら楓でしょう?楓が可愛いから専務は楓を保護してるのよ。他の男に触れさせないように」
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