能あるイケメンは羽目を外す
「欠けてなくて綺麗だね。たくさん拾ってフォトフレームでも作る?昔、母親と一緒に作ったんだよ」

「いいお母さんだね」

「明るくて優しくて強い人だった。死ぬってわかってたのに、俺の前ではいつも笑顔でね。デザインの事もいろいろ教えてくれたし、母であり、先生でもあったかな」

陽斗が優しい目で彼のお母さんの事を語る。

陽斗はイケメンだし、彼のお母さんもきっと美人だったんだろうな。

「陽斗は……お母さんにいっぱい大事なものもらったんだね」

思い出も、才能も……。

「私は……お母さんの事思い出すと後悔ばっかりで……」

私がぎゅっと唇を噛み締めると、陽斗は心配そうに私の顔を覗き込んだ。

「楓……?」

「中学の時に交通事故で両親が亡くなって……自分だけ生き残こちゃって……。何で私だけ生き残っちゃったんだろう……」

一人になるなら一緒に死んでしまえばよかったのに……。
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