能あるイケメンは羽目を外す

暗い闇の中に落ちそうになると、陽斗がフワッと私を抱き締め持っていた日傘が砂浜に落ちて転がる。

「楓……俺は楓が生きててくれて良かった」

陽斗が私の耳元で優しく囁く。

そんな事言われたのは初めてだった。

ずっと生きてるのは罪だってどこかで思ってて……。

「陽斗……」

「自分をそんなに悪く思わないの。思い悩む事があれば、俺に全部言って。一人で悩むのは俺が許さない」

いつになく怖い顔で言って、陽斗は私と目を合わせる。

「一人で悩むより二人で悩む方がいいよ」

その陽斗の言葉に衝撃を受けた。

「一人で悩むより二人で……？」

「そう。俺達はもう一緒の家にも住んでるし、血は繋がってないけど家族なんだよ。だから遠慮はなし」

「……家族なの？」

私が意外そうに聞くと、陽斗はコクリと頷いた。