能あるイケメンは羽目を外す
手探りでレギュレーターのホースを探すが見つからない。

息苦しい。早く浮上して普通に空気吸いたい。

もがき苦しみながら浮上しようとすると、陽斗が両手で私の足をつかんで力強く引き戻した。

早く浮上したいのにどうして止めるの!

私を両手で押さえつけようとする陽斗を必死で振り払おうとすると、何かが私の唇に触れた。

え?何?

冷たいけど……柔らかくて……これは陽斗の唇。

……陽斗?

ハッとして我に返り暴れるのを止めると、目の前にはマスクもレギュレーターも外した陽斗の顔があって……。

「落ち着いて」って陽斗が言ってるような気がした。

そう……落ち着け。落ち着くんだ。

ここで苦しんで死にたくない。

陽斗は私が落ち着くまでマスクもレギュレーターも外すつもりだ。

いくら彼だってこの状態が続けば苦しいはず……。
< 172 / 286 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop