能あるイケメンは羽目を外す
陽斗がにっこり微笑んで私にレギュレーターをくわえさせる。

空気が吸えると、私は少し落ち着きを取り戻した。

水もちょっと気管に入ったけど、今度は大丈夫。

陽斗が素早くまた自分のマスクを装着するのを見て、私も彼のを真似しながらマスクの中に入った水を鼻で息を吐き出して少しずつ出していく。

あっ、マスククリア出来た。

「もう大丈夫」と陽斗に手でOKサインを出すと、陽斗は大きく頷いて私の手を引いた。

お願い、もうパニックになるな。

そう何度も自分に念じてまた立石さんの後に続く。

ボートに上がると陽斗が私のフィンや器材を外してくれて、私は椅子に座ってマスクを外すと一息ついた。

「死ぬかと思った~」

思わず出てしまう私の本音。

陽斗が側にいなかったら本当に危なかった。
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