能あるイケメンは羽目を外す
せっかく楓と二人でゆっくり過ごそうと思ったのに、メルに邪魔されたのでは沖縄まで連れてきた意味がない。

「……でも、凄く綺麗な……人。陽斗と……仲良いんだ……ね」

言葉が途切れ途切れ。あともうちょっとで寝そうだな。

「仲良いというか……向こうがまとわりついてくるって言う方が正しいかな」

イギリスでメルに仕事を邪魔された日々を思い出し、俺は思わず苦笑する。

だが、急に楓は静かになり、何の反応も示さない。

「楓?もう寝たの?」

応答がない楓の顔を覗き込むと、彼女はちょっと疲れた顔をして寝ていた。

無理矢理ダイビングに付き合わせたが、こうしてクタクタに疲れて寝てしまえば悪夢も見ずに済む。

「いい夢を」

楓の頬にそっと触れて楓に口付ける。

東京にいた頃は青白い顔をしてたけど、ここに来て少し血色が良くなってきたかもしれない。

食欲も出てきて少し元気になってきたし、時間が許せばもっとここで過ごしたいところだが……。
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