能あるイケメンは羽目を外す
スマホを手に取り画面を見ると、メルからの着信。

俺はさっと部屋を移動して電話に出た。

「何の用?」

『ねえ、二人だけでゆっくり話したいんだけど』

チラリと時計に目をやれば午後九時過ぎ。

十八を過ぎたとはいえ、お酒を飲ませたら厄介な事になりそうだ。

メルの事だ。酔った振りして俺を困らせようと企んでいるかもしれない。

二人だけって言うのが怪しい。

「わかった。じゃあ、一階のラウンジで」

『え?何でよ?バーにしましょうよ』

予想はしていたが、メルは素直に「うん」とは言わなかった。

「今夜は疲れててそういう気分じゃないんだよ。嫌なら会わない」

冷たくそう言うと、メルは態度を軟化させた。

『……わかったわ。すぐに来て』

メルの返事を聞いて電話を切ると、俺は楓を起こさないように着替えをしてラウンジへ向かった。
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