能あるイケメンは羽目を外す
楓と落ち着いて過ごすためにも、あの我が儘姫をどうにかしないとね。

「ハルト!」

俺の姿を見つけたメルが手を振ると、俺は軽く頷いて彼女の席に向かう。
「ねえ、一緒にいたあのちんけな女、誰なの?」

相変わらずのメルの物言いに俺は眉をしかめた。

彼女が十六の時から知ってるが、自分が女王さまと思っている尊大な態度は昔からちっとも変わっていない。

「言葉遣いには気をつけろ。楓を侮辱する事はメルでも許さないよ」

冷ややかな眼差しでそう告げると、メルは俺の静かな怒りに気づいて少したじろいだ。

「……何でそんな怖い顔するのよ?あんな女より私の方が何百倍も綺麗じゃない」

「家族を侮辱されれば誰だって怒るよ」

「家族?まさか結婚したんじゃあ?」

メルがハッとした顔で俺の左手に目を向ける。
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