能あるイケメンは羽目を外す
「ありがと、楓」

メルさんを優しく介抱する陽斗を見ていると、ちょっと妬けてしまう。

いつもあの優しい手は私に触れてたのにな。

しばらく二人の様子を眺めていたけど、それ以上見るのは辛くなって私は船内に戻った。

椅子に座って考えるのは陽斗とメルさんの事。

陽斗は彼女と一緒にイギリスに戻ってしまうんだろうか。

彼がイギリスに戻ってしまったら、私はもう陽斗と会えなくなるかもしれない。

また、私……一人になるかも。

「……集めた貝殻……無駄になっちゃうかもしれないな」

ポツリと寂しく呟いて、じっと海を眺める。

私の心は暗いのに、海は日の光を浴びて眩しいくらいに輝いている。

ああ……もう考えるな。

ここでうじうじ悩んでたら、東京にいるのと状況は変わらない。
< 195 / 286 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop