能あるイケメンは羽目を外す
どれくらい海を眺めていたのだろう。

不意に陽斗に声をかけられて、私は現実に戻った。

「楓……楓?」

「え?」

「楓も船酔いしたわけじゃないよね?大丈夫?」

陽斗が私の頬に手を当て、私の瞳を心配そうに覗き込む。

「う、うん。大丈夫」

私は慌てて返事をして作り笑いをした。

「ちょっと俺、立石さんと潜ってくるから楓はメルと船で待っててくれる?メルはもう落ち着いたから」

「うん。わかった」

陽斗は西龍島周辺の海も状況も知っておきたいのだろう。

私は潜らなくていいんだとホッとしたいところだけど、メルさんと二人きりというのは正直言って気疲れしそうだ。

「メルが何か言うかもしれないけど、気にしないで。まだまだ子供なんだよ」

「……うん」
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