能あるイケメンは羽目を外す
考え事をしていると、メルさんに肩を叩かれ声をかけられた。

「ねえ、ちょっと……。ねえ、聞こえてる?」

「はい……?」

ゆっくり振り返ると、腕組みしたメルさんが目を細めながら私を見ていて自分の方がずっと年上なのにビクビクしてしまう。

「あなたからもハルトにイギリスに戻るように言ってくれない?」

「……それは……陽斗が決める事で……彼がどうするか私は話を何も聞いてないし……」

デザインの仕事をしていた陽斗がどうして日本に戻って来たのかもよく知らない。

本人は専務の仕事が好きではなさそうだけど、遊んでるように見えて何か真剣に考えているような表情をたまに見せることがある。

「なんだ。たいした関係じゃないのね。だったら、私がもっと説得すれば陽斗は戻るかも」

形のいい唇に指を当てながらそう呟いて、メルさんはフッと微笑する。
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