能あるイケメンは羽目を外す
「……うん」

曖昧な返事をして私は二人から離れる。

ここが船じゃなかったら、ホテルの部屋にすぐに戻るのに……。

船が西龍島の港に到着すると、私達は港の近くにある食堂でお昼を食べることにした。

港の周囲に立っている「リゾートホテル建設反対」の立札や看板が立ち並んでいて、陽斗はその立札の写真を何枚か取る。

うちの会社はここでは歓迎されていないようだ。

船を下りて五分ほど歩くと、小さな食堂に着いた。六十代の姉妹のおばあさん達が店を切り盛りしていて、古いけどアットホームな雰囲気のお店。

「嘘、本当にここに入るの?」

メルさんがお店を見て絶句する。

でも、横にいた陽斗になだめられ、彼女は渋々中に入った。

私もメルさんに続いて入ると、姉妹のおばあさん達がにこやかに挨拶してくれた。

「「いらっしゃい」」
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