能あるイケメンは羽目を外す
喧嘩腰の口調に思わず吹き出してしまう。

素直じゃない性格なんだろうな。でも……悪い子じゃない。

きっとずっと私の事気にしてたんじゃないだろうか。

メルさんの不注意で起きた事だけど、彼女が故意にやった訳じゃない。

「ちょっと!人が謝ってるのに何で笑うのよ!」

メルさんの顔がちょっと赤い。

怒ってるように見えるけど、これって照れてるよね。

「……ご、ごめんなさい」

私は慌てて口を押さえる。

メルさんが私を睨み付けるが、もう昨日のように怖いとは思えない。むしろ、可愛いというか……。

「もう大丈夫だから気にしなくていいよ。お医者さんもちゃんと治療すればほとんど痕は残らないだろうって言ってたし」

メルさんに向かってにっこり微笑むと、彼女はちょっとホッとしたような表情になった。
「心配かけちゃってごめんね」

メルさんの綺麗なエメラルドグリーンの瞳を見つめながら謝ると、彼女は語気を荒げてフンっとそっぽを向いた。
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