能あるイケメンは羽目を外す
私は陽斗に近寄って、ギュッと彼の手を掴む。
「楓が気にする事はないよ。俺は前から社長の病気には気づいてた。ただ、病名は今初めて知ったけどね」
フッと微笑すると、陽斗はその瞳を翳らせた。
「親父……亡くなった母親と同じすい臓ガンなんだ」
「……そんなあ」
「杉原の話ではリンパ節に転移しててもう手術もできない状況らしい。多分、もう長くないだろう」
陽斗の悲痛な表情を見て胸が痛くなる。
「……うそ」
杉原さんがたまに社長の出張に同行していたのは、社長の体調を気遣っての事だったのかもしれない。
「すい臓ガンって進行が早くて自覚症状がある時に発見したのでは手遅れな病気なんだ。俺の母親もそうだった。親父は自分が長くないのがわかってたから俺を日本に呼び寄せたんだ。俺に会社を押し付けて、勝手に死ぬつもりなんだよ。親父も会社も末期状態なんて笑えるけどね」
嘲るように言って、陽斗は手で額を押さえる。
「楓が気にする事はないよ。俺は前から社長の病気には気づいてた。ただ、病名は今初めて知ったけどね」
フッと微笑すると、陽斗はその瞳を翳らせた。
「親父……亡くなった母親と同じすい臓ガンなんだ」
「……そんなあ」
「杉原の話ではリンパ節に転移しててもう手術もできない状況らしい。多分、もう長くないだろう」
陽斗の悲痛な表情を見て胸が痛くなる。
「……うそ」
杉原さんがたまに社長の出張に同行していたのは、社長の体調を気遣っての事だったのかもしれない。
「すい臓ガンって進行が早くて自覚症状がある時に発見したのでは手遅れな病気なんだ。俺の母親もそうだった。親父は自分が長くないのがわかってたから俺を日本に呼び寄せたんだ。俺に会社を押し付けて、勝手に死ぬつもりなんだよ。親父も会社も末期状態なんて笑えるけどね」
嘲るように言って、陽斗は手で額を押さえる。