能あるイケメンは羽目を外す
「……陽斗」

かける言葉がなくて陽斗の身体に抱きつくと、彼も私の身体を強く抱き締めた。

「……ムカつく。親父の事は嫌いだけど、俺の許可なく死ぬって言うのが一番ムカつく」

「……うん」

私が陽斗の言葉に相槌を打つと、彼は突然抱擁を解いて私を抱き上げベッドに運んだ。

「陽斗……?」

「しばらく抱いてていい?」

私がコクリと頷くと、陽斗もベッドに入って来て私を抱き締めた。

外は嵐が吹き荒れていて、窓を閉めているのにヒューヒューという風の音が聞こえる。

陽斗の心の中にも……こんな嵐が吹き荒れてるんじゃないだろうか。

社長の事は嫌いって言ったけど……血の繋がった父親だ。

もう長くないと知っていくら陽斗でも平気でいられるはずがない。
< 214 / 286 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop