能あるイケメンは羽目を外す
「陽斗!」

「言い過ぎだ」と言わんばかりに楓が俺のシャツの袖をギュッと引っ張る。

俺は彼女を安心させるかのように彼女の手を握った。

「翔馬を副社長の座から引きずり下ろす。だから、安心していいよ」

親父の顔を見据えながらフッと微笑すると、俺の発言に驚いたのか親父は目を見開いた。

「……出来るのか、お前に?」

「出来ると思ったから呼んだんでしょ?それに、認めたくないけど、俺はあんた息子だからね」

経営なんて興味はない……そう思っていたが……。

会社や社員の将来のために戦略を練るのも悪くはないと、今は思える。

「……もうデザインの仕事に未練はないのか?」

「ないと言えば嘘になるけど、九十のおじいちゃんになっても出来るしね。俺の頭と杉原の頭で苦境を打破するよ」


俺は横にいる杉原の肩をポンと叩く。

「杉原、楓と一緒に廊下で待っててくれる?」
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