能あるイケメンは羽目を外す
絹のように艶やかで綺麗なあの黒髪。庇護欲をそそられる可愛い顔。

憂いのあるあの表情を見てると胸が痛んだ。

結婚式当日に婚約者に捨てられた彼女。

「……今日は私の結婚式だったの。でも……相手が逃げちゃって。……早く結婚したくて、仏滅の日に式を決めたのがいけなかったのかな」 と笑って言ってたけど……その目は今にも泣きそうで……彼女の本当の笑顔を取り戻してあげたくなった。

俺ってこんなお人好しだったっけ?

女なんてうざいだけの存在で、たまに憂さ晴らしでも出来ればいいと思ってたのに……。

面倒な関係はいらない。一夜だけの関係なら望むところだ。

そう思ってた。楓と会うまでは……。

でも……彼女からそんな言葉を聞くと、思わずムッとしてしまった。

結婚式が駄目になって自暴自棄になる気持ちはわかるが……自分を痛め付けるような真似はさせたくなかった。
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